更新日 : 令和03年11月22日(月曜日)
木曽町福島に八沢という地区があります。古名を富田町といい、応永年間(1394年~1427年)木曽親豊の築いた小丸山城の城下町として発達したところといわれています。良材に恵まれ、多湿であり、かつ空気が澄んでいることは漆器生産には絶対の条件です。戦国領主として城下町の経営に乗り出した木曽氏がこの地に漆器業者を呼び寄せ、これに庇護を加えたのが、八沢漆器の始まりで、おそらく飛騨春慶の系統をひくものと思われます。その後、木曾谷を治めた山村氏や尾張藩の庇護のもと大きく発達しました。
「木曽春慶」の名で知られるようになった八沢漆器の特長は、檜の良材を使った曲物に漆を施してあり、木目の美しさを生かしている点にあります。その点で、木地師と塗師共同の絶妙な技のバランスの上に成り立ってきたといえます。
木曾谷の檜物細工は、曲物、指物、塗物に大別されます。曲物は、檜材を薄く剥いで曲げ、これをカンバで綴った面桶(メンパともいい、小判型や丸型などの親子型弁当箱をいう)、をはじめ、柄杓、湯桶、丸盆などが作られています。曲物に対して、重箱、切溜、膳、広蓋などを指物と呼びます。いずれも明治末期に木地に檜の割柾を割り放しにしたものをヘギメと呼んで、硯箱や花台等を考案したことが始まりで、このことで八沢漆器の名はさらに高まりました。
「剥ぎ」とは、ノコギリなどを使わずナタで木を割って薄く削る技法で、木製のヘギ鉈を使うのが大きな特徴となっています。木曽地方では、剥ぐことを「ハグ」といわず「ヘグ」というので、このような呼び方をしています。素材そのものの良さが残せる魅力があり、いい木目を出すためには、樹齢二百年以上の良質な木材しか材料として用いることができません。伝統工芸品として残していくには、技の伝承とともに良質な木材の育成も課題となっています。
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