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■report.3 願っていれば必ずかなう!毎日を楽しく懸命に過ごしています。

パン店経営/岩崎  宏さん・初代さん

1989年移住(群馬県伊勢崎市から開田高原西野へ)

1997年開店 Tabith's Home「タビタのパン」

※家族5人(長女高校3年生/山形県の高校に就学

 次女中学2年生・長男小学6年生)

(ご主人群馬県出身/奥様東京都出身)

 

 

 「自分たちのパンが焼きたい!」。この一念で開田高原に移住された岩崎さんはまさに開拓者そのもの。「御嶽山を間近に仰ぐ400坪の土地を譲っていただき、いばらの繁った原野を開墾し、古材で家を建て、自分で石釜を造り、しばらくは電気もない太陽とランプの生活でした。そんな私たちにいつも元気をくれたのは愛する子どもたち。そして必要なのは家族の力でした。今こうして電気が灯くのも、冬にわが家まで町が除雪してくれるのも、店がオープンするまでの8年間、地元の企業で働かせていただいたのもすべて皆様のお陰、感謝です。生活は楽ではありませんが、毎日を楽しく懸命に過ごしています」とご主人は時計型のストーブに薪をくべながら話してくださいました。

 岩崎さんが焼く石釜パンは、国産小麦、自家製酵母を基本にした伝統的な田舎パン(カンパーニュ)。農夫が昔から食べていたパンは、噛むほどに味が深まる生命力があり、多くのファンや観光客が林道をたどって店兼工房を訪れます。店内にはフランスのコミューンで暮らしていた奥様の写真が飾られ、コーヒーの香りとともにアットホームな雰囲気に満ちます。「願い続ければ必ず叶う」が奥様からのメッセージ。ご主人も「無我夢中でやって、時々迷ったりすると、そんな時には外に出て御嶽山を見て初めてここに来た時の気持ちを思い出すんです。よし、やってやるぞ!って」。御嶽山のすそ野、煙突から煙があがる小さなパン屋さんは、家族の人柄を映すように素朴な味を醸します。

 



■report.4 日ごとに深まる地元とのおつきあい。移住は「きちっと計画」がポイント。

パン店経営/渡邉  実さん(41歳)・潮美さん(41歳)

20073月移住(愛知県豊田市から開田高原末川へ) 

20074月開店  ククルスの森のぱん工房「和和ぱん(にこにこぱん)」

※家族4人(長男中学2年生・次男小学4年生)

 

 「夢を実現できたのは地元の皆様のおがげ。地主さんやログハウスビルダー、大工さん、相談に乗ってくれたペンションオーナー、カフェオーナーや役場の方・・・。人と人との温かい繋がりに恵まれました。子供がいたから地域に溶け込みやすかったのも大きいですね」。

 ご夫婦共に前の職業は小学校の教員。開田高原でログハウスを建てて住むことが夢だったお二人は、長男の中学入学を期に移住することを計画。開田では教職に就かず、パン屋さんの経営を目指しました。奥様がパンづくりの教室に通っていたこともありますが、毎日に欠かせない「食」=パンでの自立を決心したのでした。以来奥様はパン屋さんでの修業(2年間)、朝23時にお店に出勤、帰宅は夜8時という生活で技術を取得したのでした。週末は開田へ家族で来たり、業者さんとの打ち合わせをしたりしました。とても計画的に移住を実現された渡邉さんは「目標にする期日を決めないと夢が夢で終わってしまうのでは?」と、より具体的で緻密なプランの大切さを移住成功のポイントにあげられています。

 食パンをメインに、木曽の野菜や果物を生かした惣菜パン、おやき、ピザなど、ご夫婦の味わいは地元の方から、別荘の方、宿泊・飲食店の皆さんまで広く親しまれています。「とにかく幸せ!」とお話しするお二人は、学ぶことが多い理想的な事例といえましょう。



■report.5 スローライフって忙しい(笑)!生活を楽しむ自給自足マインド。

木工・クラフト/鈴木敏晃さん(43歳)・眞美さん

2000年開業(東京都町田市から三岳へ)「Atelier JAY

(ご主人東京都西多摩郡出身/奥様神奈川県大磯町出身)

家族4人(長男小学4年生・次男年長)

 

 東京でのサラリーマン生活を辞め、上松技術専門校で木工を学び、卒業後に三岳でアトリエを立ち上げたご主人。育児に追われる奥様にとって田舎暮らしはさぞかし負担になったのでは、の問いに「戸惑い?いえむしろ嬉しかったくらい(笑)。子どもが産まれて価値観が変わったというか。長男は体が弱かったし、家族みんなで大地に足をつけて、自然の中で暮らすんだ、という決意がありました」。運良く借りられた工房は、消防団の元詰所。ご主人はオーダー家具から漆器などの小物まで手がけます。時には「木を倒したけどいるか?」と地元の方から声がかかり、様々な広葉樹が木製品に生まれ変わります。まさに木の国=木曽町ならではの恵まれた環境です。

 奥様は2人の子でもが保育園・小学校から帰ってくるまで、ご近所からお借りした畑と田んぼで作物を育てます。機械も知識も無いなかで、師匠はお隣りのおじさん。野菜もお米も収穫は不充分とはいえ、自給自足を楽しむ奥様は木曽独特の漬物“すんき”を漬け、味噌や醤油も手造りします。気になる生活費については「金銭的に余裕はないけれど、ないなりに暮らせるのは木曽の自然の恵みと何かとおすそわけしてくれる方々のお陰。こんな生活を見てスローライフを思い浮かべるかも知れませんが、実はやることがいっぱいあって忙しくて(笑)」。買い物、通園通学に不便はなく、サラリーマン時代とは違い、やりたい仕事にすべての時間を使えるのが何よりも嬉しいというご主人。お二人の顔は充実感でいっぱいでした。



■report.6 いい人いい事を大事に。心に留めておきたい人のつながり。

木工・クラフト

小間  豊さん(58歳)・明実さん(49歳)

1995年開業(東京都調布市から新開熊沢へ)木工房「楽」

(ご主人東京都調布市出身/奥様埼玉県出身)

 

 上松技術専門校卒のお二人はご主人が家具を作り、奥様はろくろ細工などクラフトを制作。木工房「楽」の設立にあたっては針葉樹のほかに、ケヤキ、カエデ、クリ、ナラなど広葉樹が手に入れやすい木曽町福島を拠点に決め、地元区長さんの紹介などを通して、たまたま空き家だった民家を借り受け、自宅兼工房にして生活をスタートさせました。「工場は騒音や、木くずが舞うなど近隣に迷惑をかけるため、ぽつんと道脇にあるこの物件は絶好の地だったんです」とご主人は振り返ります。

 お二人の生活は、作り貯めた作品をクラフトフェアなどで野外展示、あるいはギャラリー展示、自宅展示で即売、そしてオーダーを得るのが基本です。都会と比べて販路が狭いのはどうしようもありません。また冬は4ヶ月間雪に閉ざされるハンディもあります。決してラクではないが好きだからこそ続けられる世界。自分のリズムで暮らす人間らしい生活に満足しているそうです。お二人からのアドバイスは「クルマは11台の生活。冬は寒く、雪が降ると地元の人さえ脱輪するくらい運転が難しい。ご近所とのおつきあいもバランスよくすることも大切。ペットと散歩していると道端での会話も弾みますよ。いい人やいい事を大事に、落ち込まないで、人に迷惑をかけないで生きていきましょう!」とエールを贈ってくれました。


2008年秋 取材