モーツァルト ディヴェルティメント第11番ニ長調 K.251
ラッハナー 九重奏曲ヘ長調
シューベルト ピアノ五重奏曲イ長調 作品114 D.667 「ます」
ダマーズ 木管五重奏のための17の変奏曲 作品22
コルンゴルト ピアノ五重奏曲ホ長調 作品15
ブラームス セレナーデ第1番ニ長調 作品11(九重奏版)
メンデルスゾーン 弦楽五重奏曲第1番イ長調 作品18
シュポア 幻想曲と変奏曲変ロ長調 作品81
ボザ 管楽八重奏曲
ブラームス ピアノ四重奏曲第1番ト短調 作品25
ベートーヴェン 七重奏曲 変ホ長調 op.20
クロンマー 管弦八重奏のためのパルティータ へ長調 作品57
フォーレ ピアノ四重奏曲第2番 ト短調 作品45
ヒンデミット 5つの管楽器のための小室内音楽 op.24 No.2
チャイコフスキー 弦楽六重奏曲 ニ短調 op.70 「フィレンツェの思い出」 

ラッハナー 九重奏曲ヘ長調

解説:寺西基之

 フランツ・ラッハナー(1803-90)は19世紀ドイツの音楽家である。兄や2人の弟もかなりの名を成した音楽家であったが、もっとも出世したのがフランツで、1823年にウィーンに定住し(ここで彼はベートーヴェンやシューベルトと親交を結んでいる)、同地のルター派教会のオルガン奏者やケルントナートーア劇場の首席指揮者を務め、さらに1835年にミュンヘン宮廷劇場の指揮者となって、後にはそこの音楽総監督にまで登り詰めるなど、ドイツやオーストリアの重要な地位を歴任している。作曲家としても、オペラから、交響曲、管弦楽曲、室内楽といった器楽曲、さらに宗教曲に至るまで、様々なジャンルを手掛け、古典的伝統に基づいた様式のうちに仄かなロマン的香りを加味した作風は当時広い人気があったという。
 そうした彼の特質は、1857年に作曲されたこの九重奏曲(編成はフルート、オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴット、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)にも明らかで、初期ロマン的な様式のうちにディヴェルティメント風の親しみやすさを持ったその作風は、同じ編成によるシュポアの先例にも通じるものである。
 第1楽章(アンダンテ~アレグロ・モデラート)は、緩やかな序奏の後、ヴァイオリンのカデンツァを経て、伸びやかな曲想によるソナタ形式の主部に入る。明快さの中にも微妙な和声的陰影がロマンティックな趣を添える。第2楽章(メヌエット、アレグロ・モデラート)は生気あるメヌエット楽章で、のどかなトリオを挟む。第3楽章(アダージョ)は落ち着いた叙情の支配する緩徐楽章。第4楽章(フィナーレ、アレグロ・マ・ノン・トロッポ)は、軽妙な楽想に満ちたソナタ形式のフィナーレで、名技的なヴァイオリンをはじめ各楽器のコンチェルタントなやり取りのうちに運ばれる。

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