モーツァルト ディヴェルティメント第11番ニ長調 K.251
ラッハナー 九重奏曲ヘ長調
シューベルト ピアノ五重奏曲イ長調 作品114 D.667 「ます」
ダマーズ 木管五重奏のための17の変奏曲 作品22
コルンゴルト ピアノ五重奏曲ホ長調 作品15
ブラームス セレナーデ第1番ニ長調 作品11(九重奏版)
メンデルスゾーン 弦楽五重奏曲第1番イ長調 作品18
シュポア 幻想曲と変奏曲変ロ長調 作品81
ボザ 管楽八重奏曲
ブラームス ピアノ四重奏曲第1番ト短調 作品25
ベートーヴェン 七重奏曲 変ホ長調 op.20
クロンマー 管弦八重奏のためのパルティータ へ長調 作品57
フォーレ ピアノ四重奏曲第2番 ト短調 作品45
ヒンデミット 5つの管楽器のための小室内音楽 op.24 No.2
チャイコフスキー 弦楽六重奏曲 ニ短調 op.70 「フィレンツェの思い出」 

シューベルト ピアノ五重奏曲イ長調 作品114 D.667 「ます」

解説:寺西基之

 シューベルト(1797-1828)は1819年夏、上部オーストリアの町シュタイアを訪れ、ここの鉱山長官パウムガルトナーと知り合った。パウムガルトナーは自宅のサロンで演奏会をよく開き、自らもチェロを巧みに弾いて演奏に加わったほどの、熱烈な音楽愛好家であった。彼が、ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロにコントラバスを加えたやや異例の編成(フンメルによる前例はある)の五重奏曲の作曲をシューベルトに依頼したのも、おそらくこうした自宅でのコンサートで演奏するためであったことは、想像に難くない。こうして「ます」五重奏曲は生れることとなった。作曲年については1819年説のほかに、シュタイアを再訪した1823年もしくは25年とする説もあるが、いずれにせよ風光明媚な町シュタイアの美しい自然を彷彿とさせるような、明るくすがすがしい気分に満ちた作品となっている。なお「ます」という題は、変奏形式をとる第4楽章の主題として、1817年にシューベルト自身が作曲した歌曲「ます」の旋律を用いていることによっている。
 全体は5つの楽章からなる。第1楽章(アレグロ・ヴィヴァーチェ)は明るい楽想に満ちた瑞々しい楽章。再現部が下属調で始まるのは、シューベルトがよく用いた手法である。第2楽章(アンダンテ)は優美な穏やかさを湛えた緩徐楽章。3つの主要な主題を持つ前半部分が、後半では短3度上に移調されて繰り返されるという形をとっている。第3楽章(プレスト)は生き生きとしたスケルツォ。伸びやかなトリオが挟まれる。第4楽章(アンダンティーノ)は、歌曲「ます」の旋律を主題とした変奏曲。第5楽章(アレグロ・ジュスト)は、民俗舞曲風の性格を持った躍動感あふれる快活なフィナーレ。ここも第2楽章に似て、後半部が前半部を5度上に移調した形によった2部分構成をとっている。

無断転載厳禁