メンデルスゾーン 弦楽五重奏曲第1番イ長調 作品18解説:寺西基之 メンデルスゾーン(1809-47)が早熟の天才だったことはよく知られていよう。裕福な銀行家の家に生れた彼は、ベルリンの自宅で開かれていた音楽会のために、子供の時から室内楽や小編成のオーケストラ曲などを作曲し、その優れた才能を明らかにしている。この弦楽五重奏曲(ヴァイオリン2、ヴィオラ2、チェロ)もその一つ。1826年(17歳)に作曲されたもので、前年に書かれた有名な弦楽八重奏曲ほどの霊感の迸りや構成的まとまりには欠けているものの、その音楽性はいかにも初々しい。また古典的な形式感のうちにロマン的息吹を程よく溶け合わせたその作風は、終生基本的に変わることなかった彼の美質をすでに示している。もっとも、当初の形では緩徐楽章がなく、第2楽章にスケルツォ、第3楽章にメヌエットを持つ4楽章構成をとっていた。しかし1832年、メンデルスゾーンにとって年上の友人でありヴァイオリンの師でもあったE・リーツが死去し、彼はその追憶のための音楽を作曲、これを弦楽五重奏曲の第2楽章に組み込んだ。そしてスケルツォを第3楽章に回し、メヌエットは削除された。出版はこの形でなされ、以後演奏されているのはこの改訂版のほうである。 無断転載厳禁 |
