シュポア 幻想曲と変奏曲変ロ長調 作品81解説:寺西基之 ルイ・シュポア(1784-1859)は19世紀前半のドイツの音楽家である。早くからヴァイオリニストとして活躍してドイツのヴァイオリン流派の祖になるとともに、指揮者としても各地の地位を歴任、後半生はカッセルの宮廷楽長を長年にわたって務めた。作曲家としては、一方でモーツァルトを理想とする古典的な面を持ちつつ、他方で半音階的な和声の多用や甘美な旋律などによるロマン的な作風を打ち出して、ドイツ・ロマン派の先駆けともなった。1814年にクラリネット奏者のJ・S・ヘルムシュテットのために書かれた「幻想曲と変奏曲」も、冒頭の短調の幻想曲(アレグロ・モルト)では劇的な表出性によってロマン的な側面を強く打ち出し、続く長調の変奏曲(アンダンティーノの主題はダンツィの作品から取られている)では古典的な明快さを基調としている(変奏の途中で幻想曲も回想される)。この作品には、クラリネットとピアノの版とクラリネットと弦楽四重奏の版があるが、本日は後者で演奏される。なおシュポアはほぼ同時期にヴァイオリンとピアノ(もしくはハープ)のために同じ主題(さらに別の主題も加わるが)による「幻想曲と変奏曲」の別ヴァージョンを書いている。 無断転載厳禁 |
