更新日 : 令和03年11月22日(月曜日)
平成23年に、「すんき」に代表される木曽の地域資源を科学的に研究し、その資源を活かした地場産業の足がかりとするため、地域資源研究所を立ち上げました。木曽の冬の代表的な郷土食である「すんき」は、無塩の乳酸菌発酵食品。乳酸菌は今、最も注目されているもののひとつであり、木曽町では、すんき乳酸菌を保護するとともに、このすんきから分離される乳酸菌を中心として、その他地域資源の活用をめざして研究を進めています。また今後は各種企業を通じて、商品開発も進めていきます。
研究施設は、旧帝室林野局庁舎を改修して利用しています。この建物は、昭和2年に建設された木造建築物で昭和のモダンな外観を呈しています。庁舎内には、研究所の他に会議室や木工作品展示室などを設けており、教育の拠点施設としています。
1. 乳酸菌
[1]すんき由来乳酸菌の収集と分離による新たな菌種の発見
[2]すんき乳酸菌の機能性、健康効果を調査研究
[3]すんき由来乳酸菌5種の管理、研究
・すんきスターター乳酸菌 4種 (東京農大 岡田早苗研究室より譲渡)
・抗アレルギー効果を持つ乳酸菌Pediococcus pentosaceus Sn26 (保井久子先生提供)
[4]すんき由来乳酸菌を応用した商品開発
高濃度のSn26をもつ発酵豆乳の作製法を発見し、ヒトが本発酵豆乳を1日に約100ml摂取すればアレルギーを予防・軽減できる可能性をもつ発酵豆乳を製造することが出来た。今までに特許申請および学会発表を行った。(発明の名称:発酵豆乳飲料及びその製造法)
2. 木曽酵母(信州大学との共同研究)
町内の植物・土壌から免疫効果のある酵母(木曽酵母)を採取し、食品へ応用
木曽町内から208点の試料を採取し、約5,000株の正菌株を得る。このうち免疫効果のある天然酵母7株を得て、「木曽酵母」と命名し、特許申請および学会発表を行った。
(発明の名称:新規酵母及びこれを含む医薬又は飲食品)
これを用いて町内の酒蔵(七笑酒造)で「にごり酒」を作製した結果、風味・美味しさで優れている「にごり酒」ができた。毎日100ml飲むとアレルギーを予防・軽減することが期待できる。本にごりは、「木曽酵母の酒」として七笑酒造(株)にて秋口頃から販売予定。
3. 枯草菌(信州大学との共同研究)
枯草菌の消臭効果を研究し、生ゴミから出る悪臭を消臭町内にある生ゴミリサイクル施設の悪臭に自然の力を用いて対処するため、消臭効果がある枯草菌を町内の土壌より採取し消臭剤として活用すべく研究を進めている。環境に配慮した環境のための菌の地産地消。
4. ほお葉(信州大学との共同研究)
ほお葉の持つ抗菌作用に関する研究し、商品化へ
朴葉巻に用いられているほお葉。抗菌性があると言われるほお葉の機能性の解析し、特産品づくりに活用する。今までの研究により、ほお葉のロタウイルス下痢症軽減作用、食中毒菌の抑制効果について確認し、特許申請および学会発表を行った。(発明の名称:ウイルス感染及び細菌毒素防御剤)
5. その他の研究 町民から提案された地域資源の活用について、相談に応じる。
[1]特許出願申請(3件)
1.発明の名称:新規酵母及びこれを含む医薬又は飲食品(木曽酵母)2012年7月
2.発明の名称:ウイルス感染及び細菌毒素防御剤(ほお葉)2012年12月
3.発明の名称:発酵豆乳飲料及びその製造法(すんき乳酸菌)2013年12月
[2]論文発表(3件)
Food Sci. Technol. Res. 19. 1019-1027. 2013 (木曽酵母[1])
Food Sci. Technol. Res. 印刷中(木曽酵母[2])
Evidence-Baced Complementary and Alternative Medicine (イギリス誌)(朴葉)
[3]学会発表(7件10題)
日本食品科学工学会
・第59回 日本食品科学工学会 2012年8月29-31日 札幌
2題発表(木曽酵母1題、ほお葉1題)
1.「木曽酵母のアレルギー予防・軽減作用の可能性」
2.「ほお葉のロタウイルス下痢症予防作用」
・第60回 日本食品科学工学会 2013年8月29-31日 東京
3題発表(木曽酵母2題、ほお葉1題)
1.「IgE抑制性野生酵母Saccharomyces paradoxus P01株のNC/Nga 系マウスにおけるアトピー性皮膚炎抑制作用」
2.「Saccharomyces属酵母野生株によるブドウ果汁発酵物のマスト細胞脱顆粒反応に及ぼす抑制効果」
3.「朴葉熱水抽出物のウェルシュ菌エンテロトキシン誘導性細胞傷害に対する抑制効果」
・第61回 日本食品科学工学会 2014年8月29-31日 福岡
1題発表(発酵豆乳)
1.「抗アレルギー作用を有するすんき乳酸菌を用いた発酵豆乳の製造」
日本農芸化学会
・2014年度 日本農芸化学会大会 2014年3月27―30日 東京
1題発表(朴葉)
1.「ロタウイルス感染防御作用をもつ朴葉熱水抽出物中の成分解析」
・2014年度 日本農芸化学会中部支部学会2014年10月11日 名古屋
1題発表(木曽酵母)
1.「酒造用野生酵母Saccharomyces cerevisiae S03株のNC/Nga系マウスにおけるアトピー性皮膚炎抑制作用」
日本醸造学会
・平成26年度日本醸造学会 2014年10月7日―8日 東京
1題発表(木曽酵母)
1.「機能性を有する野生木曽酵母を用いたにごり酒の製造」
日本微生物資源学会
・平成26年度日本微生物資源学会 2014年9月3日 東京
1題発表(枯草菌)
1.「木曽町土壌からの枯草菌の分離とその特性調査」
[4]町民への教育・啓蒙活動
青峰高校の学生に「すんき漬乳酸菌および酵母の実験・実習」を指導した。(H26年9月5-19日)
木曽食品衛生協会員に食中毒について講演し、その原因菌を顕微鏡で観察し、食中毒予防の方法を指導した。 (H27年3月3日)
[5]広報活動(各種講演・執筆・イベントでの発表)
・講演(10件)
「わが国の伝統発酵食品に棲む乳酸菌のプロバイオティクス効果」
からだにやさしい食品づくり研究会(H23年9月13日 長野)
「すんき乳酸菌でアレルギー予防」
木曽町主催 スローフードセミナー (H23年12月8日 東京)
「乳酸菌の保健機能と応用への展望」
漬物協会主催 第21回漬物技術研究会 (H24年3月21日東京)
「乳酸菌・ビフィズス菌の保健効果」
CRN. JAPAN 講演会 (H24年9月13日 東京)
「木曽の伝統食で健康をーすんき乳酸菌で病気予防―」
木曽学講座(H24年11月14日 木曽町)
「野生酵母の分離と保健機能」
からだにやさしい食品づくり研究会(H25年1月23日 長野)
「プロバイオティクスと免疫」
社福協主催 健康セミナー(H25年4月5日 東京)
「免疫とプロバイオティクス」
日本機能性食品医用学会シンポジウム(H25年12月7日 東京)
「抗アレルギー機能を有する木曽すんき漬乳酸菌の加工品への応用」
日本食品保蔵学会シンポジウム(H26年6月29日 長野)
「伝統発酵漬物(すんき漬)の機能性乳酸菌を用いた発酵豆乳の作製」
日本微生物資源学会(H26年9月3日 東京)
・執筆活動(5件)
「発酵漬物と健康」月刊「食生活」(H23年12月)
「漬物乳酸菌の免疫調節機能と疾病予防機能について」漬物協会誌(H24年5月)
「わが国の伝統発酵食品の疾病予防機能」温故知新 秋田今野商店出版(H24年5月)
「乳酸菌の保健機能」長野県農村工業研究所出版(H25年10月 )
「木曽町地域資源研究所―科学の力で木曽の新たな魅力発見-」
「伝統的な地域資源を活かした地域活性化」事例集 (財)地域活性化センター発行(H25年12月)
・イベント(3題、その他)
1.信州大学見本市(信州大学主催:H26年3月21-22日)
「免疫調節機能をもつ木曽酵母」
2.第9回食育推進全国大会(内閣府主催:H26年6月21-22日)
2題発表
1.「すんき乳酸菌を用いた発酵豆乳」
2.「木曽酵母を用いたにごり酒」
3. 木曽町での各種イベントに参加
お問い合わせ先:企画財政課 企画係
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